納税者が、自分の所得に応じて支払っている所得税。その納税者にもし扶養する家族がいれば、税法上の優遇を受けられるというのが扶養控除です。納税者が受け取る所得から、一定額を控除。所得税の対象となる所得額を減らすことで、国に支払う所得税が少なくなるというものです。節約につながる、扶養控除のカラクリを見ていきましょう。
目次
養う家族が多いほど所得税の控除額が増える!
扶養家族1人あたりの控除額は?
扶養家族が何人いるかによって、当然控除の額は変動します。控除というのは、所得税の対象となる所得額から決まった金額を差し引くという意味。扶養家族1人につき38万円の控除が受けられるので、所得税率が20%の人であれば扶養家族が1人増えるごとに1年間で約11万円税金が減ることになります。控除額だけで見れば、扶養人数は多ければ多いほど節税対策ができると言えるでしょう。
扶養家族の対象となる範囲は?
では、扶養家族とみなせるのはどれくらいの範囲にいる人たちなのでしょうか?実はこの扶養家族の範囲は意外と広く、「6親等内の血族or3親等内の姻族」が対象となっています。そのうち、配偶者(内縁でも認められる)・子供(養子でも認められる)・孫・兄弟姉妹・父母(養父母)など直系尊属なら別居でも扶養家族の対象に。この範囲をきちんと把握できていれば、扶養控除を所得税の節約につなげやすくなります。
自分の身の回りに扶養家族となる人がいないかチェック
扶養しているということを認定する正確な提議はない
扶養家族の人数により所得税の控除額がこんなにも違うならば、扶養家族として入れられる人は見落としなく扶養に入れておきたいものです。でも、扶養家族というだけあって「扶養」していないといけないのではないか?と考える方も多いのではないでしょうか?扶養しているかどうかの定義はとても曖昧なものです。正確な定義が定められているわけではないため、扶養範囲に入る人は扶養家族として申請することができます。
定年退職した親も扶養家族として入れられる
60歳で定年退職をされた方がいらっしゃる方は、ぜひ扶養家族へ入れるのをおすすめします。なぜなら60歳で定年を迎える方は、国からの年金支給が始まるまでにあと5年もありそれまでは収入がゼロに。再就職をされる場合も、就職活動中の収入がない間は扶養家族に入れておきましょう。その間に扶養控除を受けるか受けないかでも、国に支払う税金の額はかなり変わってきます。
離婚した場合でも扶養家族の対象に
個人の事情によって判定が変わってくることもありますが、離婚したことにより離れ離れになった家族も扶養家族の対象として認められます。元妻へ子供の養育費を仕送りしている場合なども、扶養家族としての申請は可能。離婚して1人暮らしをしている方には関係のないような話にも聞こえますが、実はこのようにして税法上の優遇を受けることもできます。ポイントは、その人の生活に自分の所得を使ったかどうかということです。
重複しての申告は不可!兄弟がいる場合は注意を
兄弟姉妹での話し合いは必須
2人以上の兄弟がいる場合は要注意。親を扶養家族として申告できるのは1人のみなので、後でもめることのないようにあらかじめ話し合いをしておきましょう。実際に、兄弟で同時に親を扶養家族に入れるための申告を行い却下されたケースも。このケースの場合は経済的に苦しかった弟からの申告が認められましたが、こんなことが起きる前にきちんと申告できるケースについて調べておきましょう。
共働き夫婦も扶養控除を使えるのはどちらか片方のみ
妻と夫がそれぞれ生計を立てている場合も、注意が必要。子供がいる場合はどちらか片方の扶養家族としてしか申告できないので、重複申告にならないよう注意しましょう。夫婦どちらに扶養家族を付けるかで迷った場合は、「所得が多くて税率が高い方に扶養家族を増やす方がお得」というのを頭において選択するのがおすすめ。年ごとの所得金額に応じて、夫婦で交代しながら扶養家族を付けるという方法もあります。
まとめ
所得税のみならず、消費税や相続税など、消費者の税金負担額は年々増すばかり。国に言われるがまま支払っていては、節約するのもなかなか難しくなってきます。国が定める税負担の仕組みを頭に入れておけば、そのカラクリを利用して税金の節約につなげることも。毎年話題に上る扶養控除に関してもある程度仕組みを理解しておき、税金の節約術として活用することをおすすめします。