年末調整や確定申告などで耳にする扶養親族。扶養という言葉を知っている人も多いかもしれませんが、実際細かい内容を説明できる人は少ないのではないでしょうか?お金に関わることなので、基礎知識はぜひ知っておきたいですよね。年末調整で損しないためにも、扶養親族について説明します!
目次
年末調整や扶養親族とは?
年末調整とは?
給与を支払うときには、所得税や復興特別所得税の源泉徴収を行います。1年の間に源泉徴収した所得税と、本来納めるべき所得税は必ずしも一致しているわけではないのです。納めるべき所得税を計算し、差額を還付または徴収して調整する作業を年末調整と呼びます。
扶養親族とは?
扶養者は、養わなければいけない家族がいればその分生活費が多くかかってきます。これに対して、国税庁からの配慮で扶養家族がいる分、住民税や所得税が安くなる所得控除の制度を取り入れているのです。その対象となる家族のことを扶養親族と言います。しかし、誰でも扶養親族になれるわけではなく、国税庁が定めている条件を満たしていなければ、扶養親族となることはできません。
国税庁の定める扶養親族とは?
第一条件として、年末調整を行うその年の年末の時点で、16歳以上であるということが必要です。16歳未満の子どもは扶養親族には入りませんが、代わりに児童手当が支給されています。そして、以下の4つの条件をすべて満たしていることが扶養親族の対象となります。
配偶者以外の、6親等内の血族及び3親等内の姻族
配偶者は、「配偶者特別控除」という税金面で別の優遇制度があるので、ここでの扶養親族には含まれません。6親等といってもわかりにくいかもしれませんが、1親等は自分の親・子、2親等は祖父母・孫・兄弟など、3親等は自分の曾祖父母・甥・姪など、4親等は自分の高祖父母・いとこなど、5親等は自分の曾姪孫・従姪など、6親等は自分の再従兄弟姉妹など。かなり血縁の遠い親族でも扶養親族になることができるのです。
扶養者とともに生計を一にしている
これは必ずしも同居していないといけないというわけではなく、病気で入院していたり仕事や進学で別居している場合でも、扶養者が生計を立てている場合は、扶養親族として認められます。子どもが進学のためひとり暮らしをしていても、親が毎月仕送りをしているときには同居とみなされるというわけです。これは、祖父母の病気療養費を支払っているという場合にも認められます。
年間の合計所得金額が38万円以下
これは、収入金額のことではないので、要注意です。収入と所得とは、同じ意味のように感じますが、税務上では別のものになります。所得とは、収入金額から必要経費となるものを差し引いた金額。給与のみの場合は、給与収入が103万円以下でなければいけません。
青色申告者の事業専従者で年間収入がない
さらに、白色申告者の事業専従者ではないことが条件です。扶養者が自営業の場合、確定申告の際に青色確定申告と白色確定申告の2つの申告方式があります。確定申告の際には、給料として支払った金額を経費計上できるのでまずそこで税が軽減されます。なおかつ、扶養親族となると二重で税の軽減を受けことになるので、それを避けるための措置です。
年末調整の注意したい点
配偶者特別控除
配偶者の給与収入が103万円以上を超えてしまっても、次の5つの条件を満たせば配偶者特別控除を受けることができます。民法上配偶者であること、扶養者と同一生計であること、青色申告者の事業専従者で年間収入がなく白色申告事業主の専従者ではないこと、他の人の扶養親族でないこと、年間の合計所得金額が38万〜76万円未満であること。年末調整で損しないためにも、対象者の可能性がある場合には、確認が必要ですね。
年末調整に出し忘れても再調整できます!
資料を用意し、漏れなく記入していたつもりでも間違っていたり資料が不足していた、扶養が変わっていた、追加で保険料を支払っていたなど提出後に気づくことがあるかもしれません。そんなときは、再調整をすることができます。それぞれ会社によるかもしれませんが、期限は翌年の1月末頃です。経理の方の手を煩わすことになるので、極力最初の締め切りまでに必要書類はそろえておくことが大切ですね。
まとめ
年末調整や扶養親族について国税庁のホームページなどで確認すると、難しい言葉が並んでいますが、実際はそんなに難しいものではありません。年末調整は毎年必ず行うことなので、きちんと基礎知識を身につけておきたいものですね。そして、きちんと控除を受けて損することがないようにしましょう。