大学や短期大学、専門学校などに進学する場合、授業料や一人暮らしをする生活費など、必要なお金が一気に増えることになります。そんな時に利用できるのが奨学金制度。不況の影響もあり、奨学金制度を利用する人は年々増加の一途をたどっているようです。そんな奨学金について、今回は基本の仕組みからお伝えします。
目次
そもそも奨学金って?
奨学金とは
奨学金とは、経済的に余裕のない学生に対して金銭を貸与する制度のことを指します。奨学金を利用することで、金銭的に余裕がない家庭の子どもでも、大学などの授業料や、生活費を奨学金で賄って、学業に励むことができるように考えられた仕組みです。学校が独自で行っている奨学金制度もありますが、ここでは一番メジャーとなる「独立法人 日本学生支援機構」が運営している奨学金制度についてお伝えしましょう。
第一種奨学金とは
第一種奨学金の大きな特徴は「無利子」だということ。つまり学生の頃に借りた金額と、同じだけの金額を、将来返せばよいということです。第一種奨学金を借りるには、厳しい基準があり、その一つが奨学金を受ける学生本人が、高い学力を持っていること。もう一つは家庭の所得収入が決められた上限より低いことです。これらを基準とした上で該当するかどうかの審査が行われます。第一種に該当する人は、全体の3分の1程度です。
第二種奨学金とは
第二種奨学金は利子が付く奨学金。また、第一種と違い、月にいくら借りるのかを30,000〜120,000円の5段階から選択することができます。該当する人の審査基準は設けられていますが、第一種よりも緩やかで、現在は2.6人に1人が奨学金制度を利用しているというデータもあるのです。
借りるときの手順は?
入学してから申し込む場合
奨学金の申し込みは、個人ではなく在学している学校を通じて行います。大学や専門学校などに入学すると、奨学金制度を希望している人に向けた説明会があり、申し込み書の書き方や、口座手続きなどに関しても細かく教えてくれるので心配はいりません。学校へ書類を提出した後、インターネット上で申し込みをし、学校や日本学生支援機構の選考を待ちます。採用者は再び説明会があるので必ず出席してくださいね。
入学前に前に申し込む場合
入学前、高校三年生で合格が決まっている時点でも、奨学金の申し込みをすることができます。これを「予約採用」と言います。予約採用のメリットは、入学前に第一種(無利子)を申し込んで不採用になり、第二種(利息有)に採用されていても、入学後に第一種への変更申請をすることができるという点。つまりチャンスが二回あるというわけです。入学前に奨学金制度を受けられることが約束されていれば安心して勉学に取り組めますね。
どうやって返していくの?
基本は月賦返還です
大学を3月に卒業したら、次の10月から返済が始まります。「月賦返済」を選んだ人は、毎月27日に指定の口座からお金が引き落とされ、借りた金額の総額と、何年間で返すかによって月々の返済額は異なるのです。奨学金を借りている人の平均返済金額は3,240,000円、平均返済年数は18年間となっているので、大体月に15,000円が収入の中から奨学金返還にあてられるとイメージするとよいでしょう。
月賦半年賦併用返還や繰り上げ返還も可能です
月賦半年賦併用返還は、毎月の返還、年二回のボーナス月にはプラスで返還していくものです。毎年必ずボーナスが出ることが約束され、早く返し終わりたいという人向けの方法ですね。社会人をしていて、まとまったお金ができたから一気に返してしまいたいという時は「繰り上げ返還」の手続きをします。先に返してしまえば利子分はお得になりますが、人生設計をよく考えてから決めましょう。
もしも返すのが苦しくなったら
転職や病気、災害などの理由で毎月の返還に無理が生じた時は「減額返還制度」や「返還期限猶予」の制度を利用することができます。「減額返還制度」とは、毎月の返還額を半分に減らすことです。ただし返還総額は変わらないので、返還期間が延びることに。本来の半分の額でも返還するのが困難な場合は「返還期限猶予」を利用します。一度申請すると12か月返還を待ってもらえ、最大で10年まで延長することが可能です。
まとめ
最近では「返還滞納」や「返済のためワーキングプアになる若者」など、さまざまな社会問題を耳にするようになり、あまり良いイメージを持たない人もいる奨学金制度。しかし奨学金があったからこそ学校に通え、そのおかげで希望の職種に就いて、その後の人生が豊かになった人はたくさんいます。人生設計をよく考えて、よりよい生活のために奨学金制度を生かしたいですね。