2017年の税制改正で廃止を検討されていた「配偶者控除」。2017年度での廃止は見送られ、慎重に存廃を検討されることになりました。「配偶者控除」の廃止検討に伴い新しく導入を検討されている「夫婦控除」。今後「夫婦控除」が導入されると、私達の生活にどんな影響があるのでしょうか?今話題の「夫婦控除」についてご紹介します。
目次
数年後には配偶者控除が廃止になる!?
現在の控除制度、配偶者控除とは?
配偶者控除見直しに伴い、政府は「夫婦控除」の導入を検討。配偶者控除はどんな制度なのかおさらいしておきましょう。配偶者制度は簡単に言うと、同一生計の夫婦において妻の所得が1,030,000円以下の場合、納税者の夫が380,000円の所得控除を受けられる制度。この収入上限である1,030,000円を超えないようにと労働を制限している主婦が多いため、女性の社会進出を妨げていると度々議論されてきました。
引き上げを検討されている収入上限
2016年11月9日の政府税制調査会決定によると、2017年度の税制改正で配偶者控除の収入上限引き上げを検討しているとのこと。現在、年収額が1,030,000円を超えないように就労制限している主婦たちが就労意欲を持てるよう、女性の社会進出を後押しするには年収上限の引き上げが効果的との判断をしたようです。これにより、年収制限は1,500,000円程度への拡大を検討されています。
新しく導入を検討されている夫婦控除とは?
いつから導入されるの?
現在導入を検討されている夫婦控除は、早ければ2017年1月から導入されるのではと話題になっていましたが、政府によると2018年1月に導入する方向で検討しているとのこと。数年をかけて検討するとした「配偶者控除の廃止」を問わず、導入されるかもしれません。11月14日に行われた自民党の茂木政調会長の会見では、夫婦控除が本格的な導入になるかまたは経過措置の試験的導入になるかは、今後の議論次第としています。
共働き世帯の税負担が軽くなる?
配偶者控除についての議論で問題となっていた、働く女性や独身女性の不公平感。夫婦共にサラリーマンの世帯では配偶者控除が受けられないため、配偶者控除のある世帯に比べて税負担が大きくなることが問題とされてきました。導入を検討されている「夫婦控除」では、妻の年収に関わらず世帯主の所得課税か夫婦の所得から一定額を差し引く方針。そのため共働き世帯ではこれまで受けられなかった控除が受けられるようになるのです。
専業主婦家庭では増税に?
夫婦控除では、妻の収入額に関わらず世帯主の所得課税で一定の控除が受けられる方針ですが、もし配偶者控除が廃止になるとこれまで控除を受けていた分が増税となるため、その分負担が大きくなります。パートやアルバイトなどで就労制限をしていた家庭では、年収上限を気にせず働けるようになりますが、専業主婦の世帯にとっては大きな負担となってきますね。
所得格差の不公平さも解消される「夫婦控除」
所得控除から税額控除へ?
現行の「配偶者控除」では所得から一定額を差し引く所得控除の方式がとられており、配偶者控除を受けるための条件として世帯主の収入には上限がありません。これにより高所得の世帯ほど税の軽減額が大きくなり、不公平さが問題にされてきました。「夫婦控除」では夫の年収制限と、控除方式として「税額控除」が検討されています。税額から一定額が差し引かれるため、低所得者の受ける恩恵が大きくなるのです。
働くことができない家庭にも配慮が必要
女性の社会進出や就労意欲の後押しとなる「夫婦控除」。しかし、事情によっては働くことができない女性もいます。保育園の待機児童問題や高齢者の介護などのため、働きたいという意欲があってても、働ける環境が整っていないのも現状の大きな問題です。このような事情を持つ専業主婦の家庭では税負担が大きくなるため、新しい問題を引き起こす可能性も十分にあり、税制以外の面でサポートするための制度も必要になるでしょう。
まとめ
働きたくても収入上限を考えると思うように働けない女性や、働ける環境が整っていない専業主婦など、家庭によってさまざまな事情があります。その中で今後「配偶者控除」の廃止と「夫婦控除」が、家庭にどのような影響を与えるのかしっかり把握し、それぞれの家庭・夫婦で必要な対策などの話し合いが必要となるでしょう。また、「夫婦控除」で女性の社会進出が進むのかにも注目です。