老後を快適に過ごすために重要なのが住宅です。快適な住まいは快適な生活の基本ですが、どんなに「いいな」と思った住宅でも、老後の事情を考慮していなければふさわしい住まいとは言えません。老後を快適に過ごすためにはどのようなポイントに注目して住宅を選べばよいのでしょうか。
目次
老後の住宅選びの基本
管理の手間を軽減する適度な広さ
住宅選びで広さは大きなポイントですが、老後の住宅は広ければ快適というものではありません。体力が衰えてくる老後は、あらゆる家事負担が若い頃より重く感じてしまうため、掃除や修繕の手間がかかる広い住宅は、維持するだけで苦労してしまいます。管理の手間を軽減するには、家族構成にあわせ適度なサイズにダウンサイジングしましょう。一戸建てからマンションへの住み替えも、管理負担の軽減という意味では大きなメリットがある選択です。
必要な部屋数を考える
こどもが独立した後の生活を考えるなら、老後の住宅に必要な部屋数は多くありません。リビングやダイニング、キッチンや風呂トイレ等必要な部屋を除けば、他に必要なのは寝室や書斎などの個人部屋と客間くらいです。家族や親戚を泊める予定がなければ客間は必要なく、また個人部屋がなくても十分暮らすことはできます。部屋数が多ければそれだけ管理の手間がかかりますから、老後の住宅には必要な部屋だけあれば十分。部屋の用途をよく考えて間取りを検討してください。
収納の重要性
住宅の利便性を考える上で、収納はとても大切な要素です。老後といっても数十年は暮らすわけですから、ある程度の収納スペースは必要です。年を重ねると、体力的な問題で片付けがおろそかになりがちですが、収納に余裕があれば使わないものをしまっておけるので、家が散らかる心配はありません。外出が多少面倒になっても、食料を買いだめしておける食料庫があれば、毎日の買い物も楽になります。
快適な老後を過ごすために必要な住宅設備
バリアフリーは老後向け住宅の基本
老後向け住宅を選ぶ上で、バリアフリーであることは基本です。段差が少なく手すりなど掴まれる設備も整っているバリアフリー住宅は、加齢によって体力が落ちても快適に暮らすことができます。若い頃にはなかなか気づかないものですが、住宅には、至る所に段差が存在します。加齢による筋力の衰えから、十分な高さまで足をあげることが難しくなり、ちょっとした段差につまずいて大怪我してしまう可能性があります。バリアフリーは快適なだけでなく安全性の面からも重要な要素です。
一年を通じて快適な温度を保つ
年を重ねると、人間の体温調節機能は低下してしまいます。保温性が高く一年を通じて快適な温度が保てる設備・空調システムを備えた住宅であれば、老後も体調を崩さずに過ごせるでしょう。真夏の熱中症や冬場の寒さが原因の心筋梗塞など、気温変化は高齢者の体にとって大きな危険をはらんでいます。適切な空調や建材の使用により、室内の気温を保つための配慮が行き届いていれば老後も安心です。
開けやすく閉めやすいドア
意外と見落とされがちな点が、各部屋の入口に設置されているドアです。前後に開くタイプのドアは、開け閉めに手を伸ばす、体を引く、といった動作が必要なため、足腰の弱った高齢者には負担が大きく、車いすの利用にも不向きです。対して、横にスライドする引き戸タイプのドアなら、軽い力で開け閉めが可能です。間口も広めにとれるので、車いすでも余裕を持って通れます。
十分な明るさを確保する
老後の住宅に必要なのが十分な明るさです。視力が落ちてくると明るさが不足し、ものが見えにくくなることが多く、細かい文字などは読むだけで疲労を感じてしまうようになります。天窓を設置したり、大開口の窓で日光を十分に取り入れるのはもちろん、照明器具も通常より明るい製品を使用しましょう。ものが見えにくくなると活動意欲が大きくそがれてしまいます。室内の明るさは元気を保つための重要なポイントです。
老後はどこに住むべきか
都会か田舎か
老後の住宅選びでは、どこに住むのかという点も大きなポイントになります。それまでと同じ場所に住み続けるのでなければ新たに住む場所を選ばなくてはいけませんが、住む場所の環境は老後の過ごし方に大きく影響します。都会に住むのかそれとも田舎に住むのか。住宅に必要な予算にも関わってきますので、どんな老後を過ごしたいのかをよく考えてどんな場所に住むのかを検討してください。
老後を都会で過ごす
都会にある住宅を選ぶメリットは利便性です。都会の住宅なら近くにスーパーや病院などの施設が充実しているため利便性が高く、徒歩や自転車でも移動できるので毎日気軽に外出することができます。急病の時もすぐ病院に行けるので安心です。ただ、都会の設備が充実した住宅は、比較的高価になりやすい点がデメリットです。金銭的な余裕があれば選択肢が増えるでしょう。
老後を田舎で過ごす
老後を田舎で過ごすメリットは、充実した周辺環境です。緑豊かで空気も澄んでいる田舎での生活は、心身ともに健康的な暮らしにピッタリです。住宅価格が比較的安く、自治体が実施している移住支援制度などを利用すれば、費用を抑えて暮らし始められます。デメリットは、施設が少なく移動が困難な点です。駅や病院など主要な施設の位置と交通手段を、あらかじめ把握しておきましょう。
まとめ
老後の住宅選びは年齢を重ねたことによる生活の変化がポイントになります。年を取れば体力は衰え視力や聴力も低下します。若い頃は苦にならなかったちょっとした事でも負担に感じることが増えますから、加齢を考慮して住宅を選ばないと毎日の生活に苦労することになります。老後はどこでどんな生活を過ごしたいのかをよく考え、希望を叶えてくれる理想の住宅を見つけてください。