「進学するなら、国立大学に行ってほしい」というのは受験生の親の本音ではないでしょうか。このように授業料をはじめとした費用が安いというイメージがすっかり定着している国立大学ですが、本当のところはどうなのでしょうか。今回は、国立大学への進学で必要になる授業料をはじめとした費用について見ていきましょう。
目次
国立大学の学費について
年々増加傾向にある国立大学の学費
まず、最初に押さえておきたいことは国立大学ということで学費がバカみたいに安いと考えているなら、その思い込みはまず捨てるべきだということです。国立大学の授業料は年々増加傾向にあるというのが実情です。1989年から日本人の平均的な所得は大きく上昇しているとは言えないなかで、国立大学の授業料の基本となる標準額については339,600円から535,800円に一気に上昇しています。2005年に535,800円になってからは学費の値上げはありませんが、ここ十数年で約20万円上昇しました。
国立大学の初年度にかかる費用について
さて、国立大学に進学した場合、初年度にかかる費用についてですが、3つの金額の合算でその金額を求めることができます。それが授業料、入学料、検定料の3つになります。ちなみに、この3つの金額に関しては標準額というものが設定されており、授業料は535,800円、入学料は282,000円、検定料は33,000円となっています。これらの金額を合算すると535,800円+282,000円+33,000円=850,800円となり、大体約85万円が初年度にかかる費用として計算されます。
法人化により国立大学の授業料は一定範囲で自由設定が可能に
国立大学については2004年度から法人化され、国から独立した「国立大学法人」という形態をとることになりました。これに伴い、授業料も国立大学自体が一定の範囲内で自由に設定することが可能になりました。ちなみに、その流れを受けて一部の国立大学の大学院には学費を値上げしたところもあります。国立大学の大学院の学費の標準の授業料は535,800円で学部と同額になっています。しかし、東北大学経済学研究科の会計専門職専攻などは学費を589,300円に設定しています。
国立大学の費用と私立大学の費用を比較
国立大学と私立大学の授業料を比較
ここでは国立大学と私立大学にどのくらい費用面での違いがあるかを見ていきます。私立大学の学費は学校によって異なりますが、ここでは代表して有名私立大学である早稲田大学政治経済学部の学費を見ていきましょう。まず、授業料についてです。国立大学が上記でも記載したように535,800円であるのに対して、早稲田大学の授業料金は年度によって数千円程度の増減はあるものの約80万円程度となっています。ただし、それ以外の教育環境整備費などで約30万円かかります。
国立大学と私立大学の授業料以外の費用を比較
国立大学と私立大学で大きく異なる金額は入学金になります。この入学金については国立大学では282,000円、早稲田大学では20万円となっています。ただし、この入学金について、私立大学の場合はさらに高い金額が設定されている学校も多くみられます。
国立大学での勉学にかかる費用を軽減する手段3選
奨学金を受ける
まず、国立大学で勉学を行うにあたってその費用負担を軽減するための方法が奨学金になります。日本学生支援機構や民間団体、地方公共団体などが奨学事業を行っており、成績要件、両親の収入要件などの条件がありますが、これをクリアすれば奨学金を受けることができます。奨学金には返還義務のない給付型や返還義務のある貸与型があり、貸与型は無利子、もしくはかなりお得な金利で借り入れが可能になります。
教育ローンを申し込む
奨学金が難しいようなら教育ローンというものを利用する方法もあります。教育ローンに関しては教育のために用途が限定されているローンになります。ただ、金利面で優遇されていたり、奨学金と違って負担者が親になるため、子供に借金を背負わせる必要が無いというメリットもあります。
自治体が設ける教育貸付制度を利用する
奨学金、教育ローン以外に、あまり知られていませんが、大学の学費を助成するための制度があります。それが、自治体の教育貸付制度というものになります。例えば、社会福祉協議会が行っている教育支援資金の教育支援費というものがあります。大学については月額上限65,000円を無利子で借り入れすることが可能になります。これに加えて就学支度費という制度もあり、こちらを利用することにより、入学時に必要な入学金などまとまったお金を工面することも可能です。
まとめ
上記の文章では、国立大学に進学した場合にかかるであろう費用についてまとめてきました。国立大学の費用も年々増加するなかで、国立に進学したから、費用が全然かからないということは考えられない時代になっています。奨学金や教育ローンなどを積極的に利用するか、子供が大きくなる前にしっかりと学費を準備しておくようにしましょう。