国立と公立の学校をまとめて、私立と比較するために「国公立」と表現することもありますが、実際は国立大と公立大の間にも明確な違いがあります。「国立」と「公立」の学費や学校の充実による違いや、どちらを選ぶのが望ましいか、といった点などについて、注目していきましょう。
目次
国立と公立の、一番の違いは運営母体
国立は国立大学法人が運営している大学
国立大は旧来、国が運営していましたが、2003年の国立大学法人法の施行により、国立大学法人が運営しています。運営資金の多くは国税に由来していますが、国立大学法人が運営することで、国の過剰な管理を受けず、海外の大学のように、大学ごとの個性を生かした教育ができるようにと工夫されています。また、法人化することで、民間企業との協力研究をするためのハードルも低くなりました。
公立は各公立大学法人が運営
では、公立大はどうでしょうか。公立大も国立大同様に、各公立大学法人が運営しています。公立大は国ではなく各都道府県、または市の税金を受けて公立大学法人が運営しますので、国立大以上に地元に根差した教育ができるのが特徴です。例えば地元企業との共同事業の参画や、地域イベントの協同運営などはもちろん、その地域の経済に影響を付与できる研究を取り入れやすいといえます。
国立VS公立、学費が安いのはどっち?
一般的に国立大の方が学費が安い
文部科学省が発表した2015年度の入学年度学費における全国平均は、国立大の年学費が535,800円、入学金が282,000円、初年度合計額が817,800円となります。一方、公立大は年学費537,857円、入学金が397,721円、合計額が935,578円です。このことから、一般的には、国の税金を使用した国立大の方が、より学費が安いといえます。
公立大の方が安くなる人がいるって本当?
公立大学法人は都道府県・市が出資していますので、もちろん都道府県税もしくは市税が使われています。そのため進学以前からその地域に税金を納めていた人に対して、控除を設けているのが一般的です。先ほどの初年度平均年学費では入学金が10万円近く公立大の方が高かったのですが、大学がある地域内入学者に対する入学金の平均額は231,133円です。すなわち、地域内公立大へ就学するのが入学金の面ならお得です。
同じ内容を勉強するなら、公立大がお得
もし、同じ内容を勉強できる国立大と公立大で迷っているのであれば、あえて地元に残るというのも節約につながりますし、学生として生活している間も地元に納税しますので、双方にメリットがあると考えられます。しかし、大学は学問を専門性を持って習得する機関ですので、研究したい分野が明確なのであれば、できる限り志望は変えないほうがより身になる4年間を過ごせるでしょう。
就職のしやすさは国立と公立で変わる?
企業によっては学閥が残るものの、昨今では減りつつある
以前は就職や出世のしやすさのために、国立大だけしか選ばない、という風潮がありました。国家公務員や大手企業に多かった風潮で、卒業した大学の名前を中心に、出世のしやすさが変わるというものです。しかし、このような風潮は、過去のものとなりつつあり、現在国立・公立かだけで学生を判断することは少ないと考えられます。定められたテーマを4年間しっかり研究し続け、学生生活でさまざまな経験を積むことができたかが重要です。
国立と公立に共通する、私立大にはないメリットがポイントに
国公立大と、私大の大きな違いとして、研究費の配分があります。国公立大は税金も学校運営に使われていることや、文部科学省の助成金を受けられることから、一般的に研究設備が充実している傾向にあります。一方私大は研究費よりも大学そのもの設備などを充実させ、学生生活そのものを充実させることに注力している大学が多いのも特徴です。すなわち、明確な目的をもって研究に勤しんだと捉えられやすいのがメリットといえます。
まとめ
国公立大は特に理系の研究設備が充実している傾向にあり、研究したい内容がしっかりと決まっているようであれば、学費の安いことからも、国公立大から選ぶ方が得策です。学費だけでいけば、地元の公立大に通うのが一番費用が抑えられます。しかし、大学は本来研究機関の一つです。学費などの外部要因だけでなく、本当にやりたい勉強を見つけ、それを学べる大学を選ぶことが大切です。