日本が多額の借金を抱えているというのは有名な話です。実際借金の額は年々膨れ上がっており、日本の将来を悲観する声も聞かれます。ただ、一方で他の財政破綻した国と日本の借金の構造は全く違うということを言う人もいます。一体何が真実なのでしょうか。今回の記事では日本の借金の現状についてみていきます。
目次
日本の借金の現状
日本が抱えている借金の総額
財務省の報告によると、2015年末日時点で日本が抱えている借金の金額は1049兆円になるといわれています。この1049兆円というのを国民一人当たりが抱えている借金と考えると一人当たり826万円の借金があることになります。これだけ聞くと非常に絶望的な気分になる数字になります。
日本の財政が破綻しない大きな理由
さて、上記の文章では2015年末時点で国が抱える借金は1049兆円になったということを述べてきました。ただ、日本という国が今すぐに破綻しそうな雰囲気を感じているという人はいないのではないでしょうか。その大きな理由として挙げられるのが、この日本という国の国債を購入している人の大部分が日本人であるということが挙げられます。日本が発行している国債の94パーセントは日本人によって購入されています。
日本の財政とギリシャの財政の比較
ギリシャよりも対国民総生産の比率が大きい日本国債
よく日本の財政の不健全性を語るときに、例として挙げられるのがギリシャになります。一昔前にギリシャの財政破綻の可能性について、メディアで取り上げられていた頃がありました。ギリシャの国債と国民総生産を比較すると、2015年時点で190パーセント、つまり収入の2倍近い借金がある状態です。対して、日本の国債は229.2パーセントとなっており、ギリシャを上回って、2倍を超えている状態になっています。
外国人が引き受けていたギリシャの国債
さて、ギリシャは日本よりも国家としての財務状態が良いのに財政不安に陥ったのはなぜでしょうか。その理由としては、ギリシャの国債を購入していた人の大部分が外国人だったためです。ギリシャの国債を購入している外国人の比率は7割になっています。ギリシャ国債に関しては本当はギリシャ国民に国債を買ってほしいのにギリシャ国民が国債を購入しないため、外国人に引き受けてもらっているという状態になっています。
ギリシャが財政不安に陥った理由の一つは利息の高さ
ギリシャの国債は国内で消化できなくて外国人に買ってもらわざるを得ないほど人気がありません。したがって、利息を13パーセントといったように高く設定する必要がありました。これに対して日本の国債は、国民からの信用が厚く、販売するとすぐに買い手がつく人気ぶりです。したがって、利息も0.9〜1.0パーセント程度となっています。
ギリシャが財政不安に陥った理由の一つは返済の難しさ
ギリシャが財政不安に陥った理由は外国人が買い手であるため、返済を自身で発行できる母国通貨ではなく、ユーロやドルで行う必要があったためです。対して、日本は国民から円でお金を借りています。この円通貨を発行しているのは日本政府です。つまり、いざ返す気になれば、一気にお札を刷ってしまえば、それで返済が完了することになります。この点が数字上からは見えないギリシャの財政不安との根本的な違いになります。
日本の借金はそれほど心配する必要はない
日本の借金は家庭内での貸し借りのようなもの
日本の借金というのは国を家に例えるなら、家の中で家族間でお金を貸し借りしているだけになります。したがって、いざとなれば返済も容易で、ギリシャのような他人からの借金とは根本的に状況が違います。
日本円に人気が集まるのが日本の財政に危険性が無い証拠
さて、日本の借金はどんどん増えています。ただ、日本の借金が急激に増えていくにも関わらず日本円には人気が集まっています。例えば、国債の金額が増加し始めた1980年代初頭には対ドルのレートが240円程度だったのに対して、2016年10月現在では103円程度になっています。日本の財政状態が悪いなら、これほど日本円に人気が集まることはありません。その現実が日本の財政に不安が無いことを物語っています。
まとめ
さて、上記の文章では日本が抱える借金について述べてきました。金額だけを聞くと非常に深刻な状態にあるように考えられますが、その実情を見ていくと、そこまで悲観することが無いのが分かってきます。ただ、いずれにしても借り手が国民とは言え、借金があるのは決して褒められたことではありません。一国民として財政の健全化の取り組みは注視するようにしましょう。