結婚退職の場合など、失業給付を受けながらも扶養に入ることで健康保険料を節約しようと考える人は多いでしょう。また、もともと扶養に入っていた方が失業して失業給付金を受け取ることもありますよね。今回は退職して失業給付金を受け取りながら扶養に入ることができるのかどうかを調べてみました。
目次
そもそも失業給付金とは
失業保険制度で支給される給付金
雇用保険の加入者が、雇用先の倒産・リストラなどによって解雇された場合、自己都合で退職した場合に、次の職が決まるまでの生活を支える給付金として支給されるものが失業給付金です。失業給付金は実際には誰でも受けられるというものではありません。次の職を探す意欲があること、離職する前の2年間において雇用保険に12か月以上加入していることの条件があります。しばらく休もうと考えている人には支給されないのです。
失業給付金を受け取ると扶養から外れる?
扶養に入っている人がハローワークで失業給付金の相談をするときに、扶養から外れる可能性があると言われることがあります。扶養と認められるためには年収などの条件がありますが、失業給付金の支給が開始されると、この条件を満たさなくなる可能性があるからです。この仕組みを理解するには、扶養制度について知っておく必要があります。扶養には2種類あり、税法上の扶養と健康保険・年金での扶養はまったく異なる制度です。
「扶養」には2種類ある
税法上の扶養
税法上の扶養とは簡単に言えば、税金にかかわってくる扶養のことで、会社員の年末調整での「扶養者控除」に関連してくる制度です。税法上で扶養者として認められると、扶養している側の人は扶養者控除を受けられるので支払う所得税を安くできるという制度です。こちらの制度で扶養に入るための条件は、年収103万円未満です。パートで働く配偶者が、年収103万円未満に抑えるように働くことが多いのはこれが理由です。
健康保険・年金での扶養
それに対して健康保険・年金での扶養とは、簡単に言うと扶養に入ることで扶養される側の保険料を抑えることができる制度です。扶養している側の人の支払う保険料は変わりません。今回の失業給付金との関連での扶養とは、こちらの扶養のことを言い、社会保険庁が管轄しています。税法での扶養とは別の制度なので、加入条件も異なります。健康保険・年金で扶養に入る条件の代表例は、年収が130万円未満であることです。
失業後に扶養に入るためには
1年間の収入見通しがカギ
まず扶養に入れるかどうかの基準が、退職してから1年間の収入見通しです。健康保険での扶養に入るには1年間での収入が130万円未満である必要があり、収入見通しがこの額を下回っている必要があります。あくまで見通しなのでこれまでの収入は関係ありません。次の職場が何も決まっていない場合であれば問題ないでしょう。ただしこの基準はあくまでも原則で組合によっては異なる基準を設けている可能性もあります。
失業給付金の日割り計算での基準
1年間の収入見通しが130万円未満であれば扶養に入ることが可能ですが、さらに失業給付金の日割り計算での基準があります。130万円を月割り計算にすると108,333円になり、30日で割って3,611円となります。つまり失業給付金の受給日額が3,611円以下であれば扶養に入れますが、3,612円以上ではダメだということになります。実際の給付金の日額は、ハローワークで尋ねれば計算してもらえます。
扶養に入れないとどうするのか
扶養に入れないと、本人が国民健康保険に加入するか、もしくは前の職場で加入していた保険の任意継続の手続きを行わなくてはなりません。日本は皆保険制度なので、失業者も保険に入っていなくてはならないのです。国民健康保険と任意継続とどちらがお得なのかは、個人によって異なりますので、支払う金額を比較してみてください。国民健康保険は役所へ、任意継続は加入する保険の団体へ問い合わせれば対応してもらえます。
まとめ
失業給付金を受け取りながら扶養に入ることができる条件について解説しました。複雑ですが、まず扶養には税法上の扶養と、健康保険・年金での扶養があることを理解しておいてください。退職後1年間の収入見通しが130万円未満、失業給付の受給日額が3,611円以下の場合に、給付金を受け取りながら扶養に入ることが可能です。扶養に入れない場合、国民健康保険への加入か保険の任意継続の手続きが必要になります。