クレジットカードをよく利用する方であれば、ボーナス併用払いはご存知でしょうか。このボーナス併用払い、住宅ローンでも利用できるって知ってましたか?ただ利用の仕方によっては、総返済額が逆に増えてしまう可能性もあるよう。そこで、ボーナス併用払いは利用すべきかどうか、注意点も併せて解説していきます。
そもそもボーナス併用払いとは
ボーナス併用払いとは、ボーナスが出た際、毎月支払う額とは別に多めに支払うことができる仕組みです。毎月の返済額に合わせて、ボーナス時のみ多めに支払うことができるため、その分返済額を早めに減らすことができます。ボーナス併用払いと言っても、ボーナス全額を返済に充てる必要はありません。個人の判断で、いくら返済に充てるのか決めることができます。
ローンなどの支払いは、年を重ねるごとに増えていきます。何も住宅ローンだけでなく、自動車ローンや子供の教育費など、他に支払わなければならないお金はあるわけです。そこで会社から支給されるボーナスの何%かを、住宅ローンに充てるといった考え方が一般的です。
支払い総額を早期に減らすことができるため、ボーナス併用払いはできるだけ利用すべきでは?という考えが浮かぶ場合がありますが、実際はそんな単純な問題ではありません。終身雇用が当たり前ではない今の時代。ボーナスがいつまで支給されるかわかりません。それに、ボーナス併用払いにすると、元金の減り具合の影響で総返済額が多くなってしまう可能性があるよう。では、実際どうなのでしょうか?
ボーナス併用払いを利用する際の注意点
ボーナス併用払いを利用する際、注意すべき点があります。それは月々の返済額と返済期間です。ボーナス併用払いのメリットは、月々の返済額が減らせる点と、返済期間が短縮できる点にあります。ただこれは表面上のメリットで、実際は月々の返済額を減らせる点はデメリットにもなりえます。
ボーナス併用払いを利用せずに35年ローンを組む場合と、ボーナス併用払いを利用して35年ローンを組む場合とでは、総支払額に差が出てしまうのです。例えば35年返済、金利2%で3,000万円を借りるとします。これをボーナス併用払いを利用せずに毎月9万9,378円ずつ返済していくとなると、総返済額は約4,173万9,000円です。
一方、3,000万円の半額の1,500万円をボーナスで返済していくとすると、毎月の返済額は4万9,689円で、ボーナス時の返済額は29万8,992円、総返済額は約4,179万9,000円。ボーナス併用払いを利用した場合の方が、総返済額が6万円近く多くなるわけです。つまり、ボーナス併用払いを利用して毎月の返済額を減らせる代わりに、トータルでの返済額は大きくなるわけです。
月々の返済額が減らせるというメリットだけに目が行くと、思わぬデメリットを被ることになります。同じ返済期間でボーナス併用払いを利用すると、返済額の元金の減りが遅くなるため、元金にかかる利息も合わせて大きくなり、総返済額まで多くなるわけです。これだけ聞くと、余分に支払うぐらいならボーナス併用払いを利用しない方がいいのでは?と考えられますが、ちょっと待ってください。
前述した例はあくまでも、返済期間35年で、月々の返済額を減らした場合です。月々の返済額は減らさずにボーナス併用払いを利用すると、ボーナス併用払いを利用しないときと比べ、返済期間が短縮でき、さらに返済総額も減らすことができます。
結局ボーナス併用払いは利用した方がいいのか否か?
ボーナス併用払いを利用した方がいいのかは、利用の仕方によります。前述した例の通り、ボーナス併用払いを利用しても、その分毎月の返済額を減らし、返済期間が35年になるのであれば総返済額は多くなってしまうため、おすすめできません。しかし、ボーナス併用払いを利用しても、毎月の返済額は減らさずに返済期間を30年に短縮すれば、総返済額は少なくなりますし、何より返済期間も短くなります。
ローンなどの支払いは、年を重ねるごとに増えていきます。何も住宅ローンだけでなく、マイカーローンや子供の教育費など、他に支払わなければならないお金はあるわけです。そこで会社から支給されるボーナスの何%かを、住宅ローンに充てるといった考え方が一般的です。
総返済額を見てもらうと分かりますが、約4,173万円−約3,993万円=180万もの差があります。つまり毎月の返済額を減らさずに、なおかつボーナス併用払いも利用すれば、返済期間が30年に短縮できるゆえに、総返済額も約180万円減らすことができます。ボーナス併用払いは、利用の仕方次第で大きなメリットが得られるわけです。
まとめ
ボーナス併用払いで大きなメリットを得るためには、利用の仕方を考えなければなりません。月々の返済額を減らし、返済期間が35年の場合にボーナス併用払いを利用すると、総返済額が多くなってしまいますが、月々の返済額を減らさず、返済期間も30年に短縮すると、総返済額を大幅に減らすことができます。