所得控除の一種である生命保険控除、年に一度の計算なので、計算方法がよくわからないという方も多いでしょう。特に生命保険控除の新制度が始まり、旧制度と新制度の計算が併用されているので、よりわかりにくくなっています。今回は生命保険控除の計算方法と、どちらの制度を使用して計算するかをご紹介します。
目次
生命保険控除って何?出し忘れたらどうしよう?
生命保険控除とは
生命保険控除は所得控除の一種で、税額を計算する際に、その基礎となる金額、所得税であれば年間所得の金額を減らす制度です。年間所得から生命保険控除の金額を減らすことにより、結果的に税金を減らす、それが控除制度です。控除には生命保険の他に、配偶者控除、扶養控除、地震保険控除などがあります。
生命保険控除の提出漏れをした場合
年末調整の際に提出を忘れてしまった生命保険控除、期限が切れたのでもう控除はできない、そう思う方が多いかもしれません。年末調整を職場で行っている場合、翌年の1月31日までは年末調整のやり直しが可能です。しかし、事務処理などの関係もあり職場へ頼みにくいということも多いかと思います。その場合は、個人で確定申告で対応可能です。確定申告は翌年の3月15日まで可能です。生命保険控除以外の控除も3月15日までできるので、申告漏れがある場合は確定申告をしましょう。
生命保険控除の旧制度と新制度、どちらで計算をするの?
生命保険控除の旧制度と新制度、境目は?
生命保険控除は2012年1月1日を境に旧制度、新制度の計算が分かれます。2011年12月31日以前に加入、更新を行った保険は旧制度の計算方法を、2012年1月1日以降に加入、更新を行った保険は新制度で計算方法を行います。どちらの制度が適用されるかは、生命保険料控除証明書に記載があります。
旧制度の期間の保険を更新した場合
旧制度の時点で加入した保険の契約を更新した場合、契約更新した月までは旧制度、更新した月以降は新制度で計算をします。例えば2006年に加入した保険を、2016年8月に契約更新した場合、2016年7月の分までを旧制度、2016年8月からの部分を新制度で計算します。
旧制度の控除上限額
旧制度の保険控除の上限額は10万円です、内訳は以下の通りです。一般生命保険料控除(控除対象保険:死亡保険、医療保険、学資保険)の上限5万円。個人年金保険料控除の上限5万円。生命保険控除、個人年金それぞれ5万円までと覚えておけば問題ありません。
新制度の控除上限額
新制度の保険控除の上限額は12万円です、内訳は以下の通りです。一般生命保険料控除(控除対象保険:死亡保険、学資保険)の上限4万円。介護医療保険料控除(控除対象保険:医療保険)の上限4万円。個人年金保険料控除の上限4万円。新制度では、介護医療保険控除が新設され、上限が12万円に上がりました、一般生命保険、個人年金保険の控除の上限が下がっていることに注意してください。
生命保険控除の計算方法
旧制度での計算方法
こちらでは生命保険控除の計算方法を紹介します。旧制度での生命保険控除は5万円までとなっています。計算方法は以下の通りです。
払い込み保険料 | 生命保険控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 保険料全額 |
25,001円〜50,000円 | 保険料 × 1/2 + 12,500円 |
50,001円〜100,000円 | 保険料 × 1/4 + 25,000円 |
100,001円を超える | 一律50,000円 |
新制度での計算方法
新制度での生命保険控除は4万円までとなっています。計算方法は以下の通りです。
払い込み保険料 | 生命保険控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 保険料全額 |
20,001円〜40,000円 | 保険料 × 1/2 + 10,000円 |
40,001円〜80,000円 | 保険料 × 1/4 + 20,000円 |
80,001円を超える | 一律40,000円 |
まとめ
生命保険控除は新制度が施行され、計算方法が変更されています。保険に加入した時期によって別の計算式で計算をすることになりますが、どちらの制度を利用するかは生命保険控除書を見れば分かります。計算式自体は難しいものではないので、安心して申告書へ記載してください。複数の保険に加入していると、申告漏れなどをしがちなので、どの保険に加入しているかチェック表を作るとよいでしょう。