「様々な事情で、現在収入が少なく国民年金を納付するのが難しい、だけど未納付期間ができるのは避けたい」という方、実は収入次第で保険料免除や納付猶予制度を利用できます。申請が必要なため、条件に当てはまっていても利用していない人が多い保険料免除や納付猶予制度についてご紹介します。あなたは条件に当てはまっているでしょうか?
目次
保険料免除、納付猶予制度とは
保険料免除制度とは
所得が少なく、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合に、国民年金保険料が免除される制度です。申請が必要で、申請が承認されると、保険料が免除されます。収入の基準に合わせて免除される額が決定し、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
保険料納付猶予制度とは
20歳〜50歳未満で、配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、国民年金保険料の納付が猶予される制度です。こちらも申請が必要であり、申請後に承認がされると、保険料の納付が猶予されます。2016年の6月までは30歳未満が対象でしたが、2016年の7月より50歳未満に対象が拡大されました。制度が変わったばかりなので、制度に気が付いていない人も多いかもしれません。
納付期間には影響するの?
国民年金保険を受給する際、受給要件に納付期間があります。保険料免除制度や猶予制度を利用した場合、この期間は受給資格期間に算入されます。安心して制度を利用することができますね。
年金額への影響はあるの?
免除期間の年金額は、免除額の割合によって減額されます。
・全額免除
保険料を全額納付した場合、年金額の2分の1が支給。
・4分の3免除
保険料を全額納付した場合、年金額の8分の5が支給。
・半額免除
保険料を全額納付した場合、年金額の8分の6が支給。
・4分の1免除
保険料を全額納付した場合、年金額の8分の7が支給。
以上の割合で、年金が支給されます。納付猶予制度を利用した場合は、受給資格期間にカウントされますが、この期間の年金額は0となります。
保険料免除、納付猶予制度を受ける収入の条件は?
保険料免除の収入基準(全額納付・4分の3免除)
・全額納付
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
・4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
保険料免除の収入基準(半額免除・4分の1免除)
・半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
・4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
保険料免除の収入基準の注意点
保険料免除の収入は、本人だけではなく、配偶者や世帯主の所得も計算されます。収入がある親が世帯主で同居している場合など、この条件で免除の申請ができない場合もあるので、注意しましょう。
保険料納付猶予の収入基準
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
納付猶予制度の場合は、免除制度の場合と違い、世帯主の収入は計算されません。
ただし、配偶者の収入は計算されるので、注意してください。
保険料免除、保険料猶予制度の申請方法は?
保険料免除、保険料猶予申請は市役所(役場)へ
保険料免除、保険料猶予制度ともに、申請は住民登録をしている市(区)役所や町村役場の国民年金担当窓口になります。申請用紙は各窓口および、年金事務所に備え付けられています。郵送でも申請可能で、その場合は日本年金機構のホームページより、ダウンロード可能です。
申請に必要なものは?
各種申請に必要な書類は、受ける条件により変わります。確実に必要なものは、国民年金手帳か、基礎年金番号通知書です。このほか、所得証明や所得の申立書が必要な場合があります。こちらは各役所、役場で取ることができるので、必要になれば申請時に取りに行くことも可能です。また、失業が理由で申請する場合、失業の事実が確認できる書類が必要な場合もあります。個別に要件が変わりますので、窓口で相談するとよいでしょう。
まとめ
国民年金保険料の免除制度や猶予制度は自分で申請をする必要があるので、気が付かずに適用されていない人が多いです。学生の猶予制度は知っているけど、この制度は知らなかったという人も多いでしょう。免除制度や猶予制度で受給できる年金額が減りますが、今後収入が増えた場合追納する制度もあります。メリットが多い制度なので、自分が対象になるか、一度計算してみるといいですね。