個人事業主であれば、一年の所得を報告するために確定申告と呼ばれている申告を行う必要があると所得税法で義務付けられています。今回はその確定申告において、申告した所得からどのように税金が計算されているのかについて見ていきます。
目次
税金計算の大まかな流れ
確定申告における税金計算の大まかな流れについてですが、原則としては次のような流れで進んでいくことになります。まず、個人事業主が青色申告をしているなら、青色申告関係の書類を作成。その後は確定申告書にその青色申告関係の書類で計算した所得を記載。
そして、その所得の金額から所得控除の金額及び税額控除の金額を差し引いていくという流れになっています。この流れで税金の計算は行われていきますが、以下でさらに細かく見ていきたいと思います。
青色申告している個人事業主なら青色申告決算書の作成
青色申告とは?
個人事業主の場合には確定申告の際に青色申告というものを選ぶことができます。この青色申告というのは、複式簿記の基準に従って帳簿を作成するということが必須条件になります。複式簿記の基準に従って帳簿を作成している個人事業主が青色申告をしたいという届け出を税務署に行った場合、青色申告という申告方式が認められることになります。なお、青色申告に関しては複式簿記の帳簿を作らない申告方法である白色申告と比較すると、さまざまな税金計算上のメリットが存在しています。
青色申告損益計算書の作成
青色申告をしている個人事業主の場合には上記で述べたように青色申告のための書類を作成する必要があります。このような青色申告のための書類として、青色申告損益計算書というものがあります。この青色申告損益計算書というのはそれこそ会社などが出している損益計算書と同じで、個人事業主のその年における経営成績を収益と費用という2つの面から分析したものになります。
青色申告貸借対照表の作成
次に、青色申告をしている個人事業主の場合には、原則として青色申告貸借対照表をいうものを作成していくことになります。青色申告貸借対照表についても企業の貸借対照表と同じで、保有している資産と負債を一覧にしたものになります。ただ、この青色申告貸借対照表を作っていない個人事業主も一部には存在しますが、この場合には青色申告で受けることのできる青色申告特別控除というものの金額が65万円から10万円に減額されてしまいます。したがって、この青色申告貸借対照表についても作成することをおすすめします。
確定申告書の記載
所得計算を行う
上記の青色申告損益計算書などを作成すると、結果的にその年の個人事業主の事業所得の金額が算出されることになります。これに加えて、個人事業主の場合には事業所得以外の所得が存在している可能性もあります。そのような事業とは別で得た所得なども合算するような形でその年の個人事業主の所得を計算していきます。
所得控除を行う
上記で計算した所得の金額ですが、所得税法上では所得から差し引くことが認められている所得控除というものが存在しています。このような所得控除として有名なものには、医療費控除をはじめ、生命保険料控除や地震保険料控除といったものがあります。このような所得控除の金額を差し引いた上で所得の金額を計算します。
税額の計算を行う
上記の過程において所得控除後の所得の金額が求められました。この後はこの所得控除後の所得の金額に対して、税率を掛けていくことになります。税率に関しては所得の金額に応じて税率が上がる累進課税の制度を取っているため、この所得控除後の所得の金額が195万円以下なら、最低税率の5%、4,000万円超なら、45%となっています。なお、この税率を掛けた後の金額から控除額という金額が差し引かれて税額が算出されます。
税額控除を行う
そして、上記の過程で計算された税額に最後に税額控除といわれている控除の金額を直接控除することによって、納税額は算出されます。この税額控除として有名なものには住宅ローン控除と呼ばれているものなどがあります。この住宅ローン控除などの金額を直接計算した税額から差し引いて、最終的な納税額が計算されます。
まとめ
上記の文章では確定申告における税金計算の方法についてみてきました。普段何気なくやっている確定申告ですが、実際には上記のような計算方法で税金が計算されているということを覚えておきましょう。