老後にもらえるはずの公的年金(老齢基礎年金や厚生年金のこと)の雲行きが怪しいという報道をよく目にしますが本当なのでしょうか?会社員として働いている人の年金受給額はこの先カットされるのでしょうか?そして年金の受給がはじまる年齢が引き上げられるという説も気になりますね。
目次
老後の年金の受給額カットはありえるの?
老後の年金の受給額カットや支給開始の引き上げについて
老後の年金の受給額はいかにして決定されるかというと、国民から集めた国民年金や厚生年金の保険料(掛け金)は国(日本年金機構)にいったん集められます。国の計画によって長期の運用に回されて、毎年いまの高齢者に支給しています。ですから年金財政が苦しくなれば過去にもありましたが、今後は受給額のカットがありうると言えます。それから公的年金の支給開始年齢は年金制度ができたばかりのころは55歳でしたが、現在は65歳となっており、これも引き上げが検討されています。
年金受給額はどのくらいカットされるの?
公的年金はこれから先に最大で30%程度受給額がカットされるだろう…という説が、エコノミストの間で有力です。そもそも年金受給額は毎年マクロスライドによって物価やその他の生活費との兼ね合いで決定されるので、誰も将来公的年金がどのくらいの受給額になるということは断言できないのです。老齢基礎年金は昔から65歳から受給スタートです。支給開始年齢の引き上げもありえます。60歳で定年を迎えて、65歳まで現金収入が途絶える人のために、老齢基礎年金の繰り下げ受給も可能ですが減額されます。
老後の年金受給額カットに負けないためには?
公的年金の受給額カットに負けない貯蓄計画を
老後資金を公的年金を一切頼らないで自力で貯蓄するのは不可能ではありませんが、一般的なサラリーマンにはかなり大変ですので、資産形成は公的年金の受給ありきで考えるべきです。しかし国の年金財政は逼迫しているので、いまの高齢者がもらっている受給額がそのまま20年後に自分たちがもらえるとは考えない方がよいでしょう。最大で3割カットされるのだと覚悟して貯金するほうが現実的です。年金の支給開始年齢の引き上げもあり、60歳で定年退職して、70歳からまで10年間の無年金期間の対策も必要です。
無年金期間をどうやってしのぐか?
2000年に年金制度を改革した際には、受給額2割削減して保険料を3割増やして「100年安心年金」とうたっていたのですが、これから先も年金支給開始年齢の引き上げはあるでしょうから、今の若い人たちが65歳になるころには国の年金制度がどうなっているか?生活保護費との兼ね合いで具体的な受給額は?はっきりしたことは不明です。しかし60歳まで働いて定年退職してそれから数年間、まったく現金収入が無い期間が数年あると、せっかく退職金をもらってもその間に遣い潰してしまう危険もあります。
年金の支給金額はどこまで引き上げられるのか?
厚生年金支給開始の年齢引き上げは既定路線
社会保険の専門筋は「政府は最終的には70歳までの厚生年金の支給開始年齢の引き上げを目指しています」と説明しています。過去に会社員の定年が55歳から60歳に引き上げられて、年金の支給開始年齢も60歳から65歳まで引き上げました。次に改正高齢者雇用安定法をつくって企業に「65歳まで働きたい」という労働者を首にしてはいけないという義務を課しました。厚労省は「本人の希望によって受給額を増やす代わりに、年金支給開始を75歳まで繰り下げることができる仕組みをつくる」としています。
繰り下げ受給はお得か?
65歳定年制は年金の受給開始年齢70歳引き上げの布石ですが、今でも年金は繰り下げ受給をすることができます。受給開始を1か月遅らせる(繰り下げる)ことで、年金額を0.7%上乗せできます。70歳近くまで働いていて年収が現役時代とそれほど変化しない世帯であれば、繰り下げ受給額の方が人生トータルで見た時にお得なのです(平均余命分だけ生存できると仮定しての話ですが)。ちなみに65歳から70歳に5年間ほど引き上げが実現すれば国民1人あたり1,000万円の年金カットが可能になります。
まとめ
年金の受給額カットや支給開始年齢の引き上げは憂鬱なニュースではありますが、老後の公的年金の場合はさらに介護保険料が差し引かれた金額しか指定口座に振り込まれない点も知っておきましょう。