少子高齢化社会となり、ずいぶん前から「年金制度が破綻する」といわれています。若い人たちの多くは、老後に漠然とした不安を抱えており、そのため、若い世代は消費より貯蓄にお金を回す傾向にあるようです。老後を快適に過ごすだめ、どれぐらいの資金が必要か、またそれをどう計画的に捻出するかを検証してみたいと思います。
目次
年金制度が破綻すると言われるのはなぜ?
日本年金制度が抱える問題とは何か?
日本の年金制度の問題点は、少子高齢化です。今の年金制度は現役世代が高齢者を支える仕組みになっています。年金を払う若い世代の人口が少ないのに対し、年金をもらう高齢者の人口が圧倒的に多いこと、さらに「将来(老後は)年金はもらえない」と悲観する若い世代の年金未納者が増えているのも原因の一つです。今の年金制度はいずれ破綻する…とだいぶ前から問題視されていますが、実際解決策を見いだすまでに至っていません。
若者たちの老後への不安は払拭できない
年金制度が破綻したら、老後は年金がもらえない…若い世代の大多数はそう思っています。とはいえ、国民年金加入は20歳以上の国民に義務づけられています。65歳になれば、誰もが毎月65,000円程度の年金が支給されることになっています。厚生年金を収めているサラリーマンは、もう少しもらえます。約40年間平均的な収入で働き年金を納めていれば、夫婦で毎月約22万円の年金が支払われる予定です。しかし本当にこの額が支払われるのか、老後の生活に支障をきたさないか心配は尽きません。
老後に必要な資金とはどういうものか?
何歳から「老後」と呼ばれるようになるのか?
生命保険文化センターによる「生活保障に関する調査」(2013年調べ)によると、退職し、公的年金以外に自分で貯蓄した資金を生活費として使い始める年齢を「老後」とするのなら、平均64.6歳という結果になりました。労働体系によりけりですが、サラリーマンでいえば定年退職後を「老後」と呼ぶことになります。一昔前なら「老後」というと、腰の曲がったお爺さん、お婆さんを想像してしまいますが、今の「老後」はまだまだ元気、一番時間とお金を持っている世代ではないでしょうか。
年金以外、安定した収入がない老後
定年退職後、嘱託などでお務めを続ける人も少なくありませんが、経済的に余裕がある方は、自由な時間を謳歌します。継続して働いていたとしても、社会貢献のため、自分のスキルを次世代に残すために仕事を続けるなど、いわゆる子育て世代の働き方とは違ってきます。その労働で何かしらの対価を得たとしても、現役世代のような収入を期待することは難しいのが現状です。そのため老後資金が必要となるのです。
老後資金とは何のために必要なのか?
老後資金とは、日常生活を送るうえで必要な生活費、家賃、医療費など、生きて行くために必要なお金のことです。それをあえて「老後資金」と呼ぶのは、先述したとおり、現役時代と同じような収入を得ることが難しいからこそ、老後のために予め資金を貯める、あるいはある程度の定期的な収入源を確保する必要があります。もちろん、支給される年金だけで全てをまかなえればいいのですが、そうもいかないのが現状です。
老後資金「3,000万円」と言われるがどこから来た数字?
「老後資金は最低でも3,000万円」は本当か?
ネットや雑誌、またはテレビの情報番組などで「老後資金は最低でも3,000万円必要です」という言葉をよく見聞きします。この数字は一体どこから来たのでしょうか?老後、子どもたちが独立し、夫婦2人だけの生活になった時、死ぬまでに3,000万円あればいい、ということなのでしょうか?3,000万円は決して少ない額ではありません。子育て世代など物入りな家庭に「計画的に3,000万円」貯めろ、というのは厳しいのが現状です。
実際、老後資金はどれぐらいかかるのか?
総務省の家計調査によると、高齢無職世帯で夫婦2人の平均的な消費支出は月額23万9,878円、約24万円という結果になりました。日本人の平均寿命(2015年調査)男性80.79歳、女性86.83歳です。先述した「老後」64.6歳を基本に算出し、約20年と見積もると…24万円×12カ月分×20年分=5,760万円となります。公的年金が約20万円もらえるとすると、20万円×12カ月分×20年分=4,800万円となります。つまり自己負担で約1,000万円あればよいと考えられます。
老後、経済的に余裕ある生活をするために
先述したとおり、ざっと算出すると老後資金は1,000万円あればよい、となりますが、体が元気なうちはアクティビティを楽しみたいものです。旅行やカラオケ、友人との付き合い、趣味を極めるなどなど…。そのためにプラスアルファとして1,000万円以上を老後資金として貯蓄したいものです。つまり、老後資金3,000万円というのは、あくまでも目安であり、実際その金額が必要、というものではありません。ライフスタイルによって、必要な金額は異なります。
まとめ
年金も20万円支給されるとは限らない、予定外の大きな出費が出るかもしれない、現役時代のような収入は期待できない…これらの不安を払拭するために3,000万円という数字が算出されたと考えられます。計画的に3,000万円を貯めるのも一つの手ですが、ライフスタイルによって消費額もまちまちです。3,000万円という数字は希望的観測からくるもの、別な言い方をすれば老後への「安心料」ではないでしょうか。