マイナンバー制度が導入されるとき、就業規則に「副業禁止」を掲げている企業に勤め、副業をこっそりしていた人は冷や汗をかいた、という話はよく耳にします。しかし、マイナンバー制度導入=即副業が会社にばれる、ということではなく、自分できちんと収入を管理、しかるべき申告・納税をすることで、従来通り副業も可能になります。
目次
副業はどんな時に「会社バレ」するの?
給与所得を2か所以上で受けているときは要注意
副業に相当する収入源は、様々なものがあります。一般的なパート・アルバイトはもちろんのこと、自分の持ち家を貸し出して得た家賃収入(不動産所得)や株取引などもある側面から見ると「副業」といえます。このうち、パート・アルバイトなどの「給与所得」として収入がある場合、副業の雇入先にもマイナンバーを申告し、源泉徴収してもらうのが一般的です。本業・副業を合算し一定の収入があれば、翌年の税金は高くなります。そして本業の会社へ税金額が知らされたとき、他の社員との差額によって会社バレします。
マイナンバーだけでは「会社バレ」しない
そもそも、マイナンバーは税務署や市町村役所などの公的機関で納税状況や収入情報などを共有・一元化するための制度です。よって民間企業である本業の会社が「副業をしていないか」といった目的でマイナンバーを介した個人情報を閲覧、調査することなどはできません。それでも「会社バレ」してしまう仕組みとしては「給与所得はアルバイトであっても源泉徴収される」ことにあげられます。この点はマイナンバー導入前から変わらず、ある手続きを自分で申請することで、「会社バレ」を回避できるのが一般的です。
会社バレを防ぐには「住民税」の納付がカギ
所得税は収入先ごとに、住民税は一元化して徴収
給与所得の場合、所得税は現在得られる収入所得に対してかかりますので、複数の企業から収入があったとしても、それぞれの企業から徴収されます。このためとくに大きな問題になりがちなのは、主たる雇入先経由で徴収されるケースの多い「住民税」です。住民税は前年の収入実績に応じて、住民票のある市町村へ納入します。この住民税の納付方法には企業が各従業員の住民税を12か月かけて給与から天引き、代理納税する「特別徴収」と、個人で税金を支払用紙などを利用して納める「普通徴収」があります。
企業は「特別徴収」をするのが一般的
とくに個人で申請を行わなかった場合、住民税は「特別徴収」するのが一般的です。理由として、一定数の従業員の雇用があるなどの条件を満たすと、自治体から企業が「特別徴収義務者」として指定され、社員からの徴収を義務化することがあげられます。この「特別徴収義務者」の制度は市町村により対応が異なりますが、首都圏を中心に導入する市町村が増えてきているのが現状です。
住民税の「普通徴収」で会社バレを回避する
住民票の普通徴収を確定申告で申請する
税金の面だけで見ると、副業を始めた年度は住民税の算定に影響がなく、複数企業で源泉徴収された源泉徴収票・支払調書などを元に確定申告をすることで収入情報がまとめられ翌年以降の税金に影響を与えます。このとき、確定申告の用紙には「普通徴収」を希望する欄があるので、この書類にきちんと記載すればよいということになります。会社経由での手続きは必要ありませんので、忘れず確定申告を行いましょう。
会社バレ回避のために確定申告に行かなかったら
では、「確定申告をしなかったら会社バレしないのではないか」と疑問がわきますが、本来納税は国民の義務であり、この義務を果たすために、確定申告は大切な申告となります。よって、故意・不意に関わらず、申告・納税をしないことで「延滞税」がかかるほか、重篤なケースは脱税となり、処罰の対象になります。年に数十万のアルバイトで犯罪者になることのないよう、きちんと申告することが大切です。もちろん、給与所得以外の副収入がある場合も、確定申告は必要です。
会社に普通徴収の理由を聞かれたら?
企業は従業員から特別徴収するのが一般的であり、普通徴収では年4回に分けて納税するものを特別徴収では12回に分けて納税するので、従業員にとってもメリットがあるはずです。そこを普通徴収で希望するには何らかの理由があるはず、と勘繰られる可能性もあるでしょう。少々苦し紛れではありますが、電子マネーをクレジットカードでチャージし電子マネーで支払えるコンビニがあることから、「クレジットカードのポイントを貯めたい」と説明するのもひとつの方法です。
まとめ
マイナンバー導入により、税金滞納や納付漏れを防ぐ対策が増え、そのせいで副業をするのが難しくなった、と感じる人も増えました。しかし、不況の回復が芳しくない中、お金を貯めるためには副業がやむをえない人も多いのが現状です。正しく申告・納税して、うまく副業も活用するように心がけましょう。