2016年4月にはじまった電力の自由化。さまざまな企業が参入し、電気料金や付帯サービスなどを競っています。しかし、F-Powerのような法人向けの電力会社では、まだ一般への提供を開始していません。
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F-Powerはどんな会社?
実は、法人向けの電力小売自由化は2000年からスタートしています。F-Powerは2009年に設立された法人向けの電力供給を行う企業で、東京都内の競技場やオフィスビルなどに電力供給を行っていました。前身は1997年に設立されたファーストエネコ、設立当時から省エネ、エコを前面に打ち出したサービスを行っています。
F-Powerの電力はエコを重視
F-Powerが自社で所有する発電施設は、ガスとバイオマスの2種類の火力発電所となっています。特にバイオマス発電所はCO2の増加を抑えられるとして注目されている発電方式です。その他にも、水力発電所などのCO2排出が少ない発電施設からの電力買い取りも実施しており、発電に伴うCO2の放出が少ないエネルギーを供給している会社として知られています。
バイオマス発電とはどんな発電方法?
バイオマス発電とは言っても、基本的には燃料を燃やして蒸気タービンを回していることには違いはありません。しかし、バイオマス発電では通常の火力発電と違い、ガスや石油を殆ど使用せずに建築廃材や食品廃棄物などのゴミを燃料として再加工したものを使用しています。そのため、本来なら焼却場でそのまま処分されていたゴミを電力として再利用することが出来るのです。
バイオマス発電のその他のメリット
石油やガスを使用する火力発電と違い、バイオマス発電は再生可能な燃料を使用して発電しています。そのため、限りある資源を消費せずに発電が出来るほか、地球上でのCO2増加が抑えられます。バイオマス発電では、排出されるCO2は燃料となった植物が大気から吸収したものに限るので、トータルで見た場合に化石燃料と違って新たに地表にCO2が排出されません。
F-Powerの電気は既に販売されている?
電気を売るというビジネスモデル
通常の電力会社では、発電できる事業者から購入した電気を顧客に販売することで利益を得ています。しかし、F-Powerでは、一般家庭向けの販売は行っていません。F-Powerのサイトだけを見ると個人向けページに申し込み方法も書いていませんし、充実しているのは法人向けサイトだけです。しかし、実はF-Powerが集めた電力が一般家庭で使われていることもあるのです。
電力小売事業者を支えるF-Power
今回の電力自由化によって、電力事業に参入した企業の中に珍しい会社があります。その会社はエゾデン。サッカーJリーグのコンサドーレ札幌が出資して設立された会社です。このエゾデン、発電施設などは無く、他社が発電した電気を販売する代理店となっています。この時、販売用の電力を供給しているのがF-Powerです。直接供給ではありませんが、既に一般家庭でF-Powerの電力を使っている可能性があるのです。
F-Powerは一般家庭には関係ない会社?
一般家庭向け市場への参入の可能性は低い
F-Powerは、既に法人向けに電力を直接小売しています。そのため、発電施設も送電施設も既に所持しており、一般家庭への供給も問題ないように思えます。しかし、現時点で家庭向け事業への参入は行っていません。F-Power側からも発表はありませんし、当面は参入を行う予定は無いと考えても良いでしょう。
新しい料金形態によって電気料金が安くなる?
電力の取引、は小売のほかに、電力の小売を行う事業者向けに販売する卸売市場というものがあります。そこでは余剰な電力が日々取引されており、需要と供給のバランスで価格が決まっています。F-Powerでは、現在事業者向けに供給している電力について、料金を市場価格と連動させると発表しました。これにより、小売事業者の仕入価格が抑えられるため、一般向けの電気料金が安くなる可能性が考えられます。
まとめ
F-Powerは一般の家庭には直接関係の無い会社ではありますが、各事業者に電力を販売するため、電気料金を安くする上で重要な企業と言えます。2016年1月に発表された変動料金により各事業者の電力購入に関する費用が抑えられるため、通常の電力を購入している事業者より安い価格で低圧電力が供給されるようになるかもしれません。