電気料金には様々な契約プランがありますが、一般家庭のほとんどは定額料金と従量制料金を組み合わせた基本料金制(2部料金制)に従ったプランで契約しています。今回はこの電気料金の一部である「従量制料金」に注目し、その計算方法や毎月の電気代を安くしていく方法をご紹介します。
従量制料金とは
電気料金における従量制料金とは、毎月の電気の使用量に応じて電力量料金を加算していく仕組みのことです。電力会社や料金プランごとに電気使用量1kWhあたりの料金単価が決められていて、電気を使えば使うほどその月の電気料金が高くなっていきます。
私達が毎月支払う電気料金には、大きく分けて3つの種類があります。「基本料金」、「電力量料金」、そして「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。一般家庭向けの電気料金プランのほとんどが「電力量料金」を決める方法として従量制を採用しているため、一般的に従量制料金という場合はこの電力量料金(もしくはその一部)を指すことが多く、また従量制を採用している電気料金プランそのものを指している場合もあります。
従量制料金の計算方法
従量制料金は、その月の「電気使用量(kWh)」と料金プランで決まっている「電気使用量1kWhあたりの単価(円)」で計算できます。計算式は以下の通りです。
従量制料金(円)=電気使用量(kWh)×1kWhあたりの料金単価(円)
1kWhあたりの料金単価(円)は電力会社の料金プランごとに異なりますので、ご契約されている料金プランを確認してください。
例えば、ある月の電気使用量(kWh)が420kWhで1kWhあたりの料金単価(円)が29円だった場合、従量制料金は「420kWh×29円=12,180円」となります。これが従量制料金の基本的な計算式ですが、実際のご家庭の従量制料金を計算する場合は、もう少し複雑な計算式になります。
一般家庭の従量制料金プランの場合、その多くは「3段階料金(段階制料金)」という料金体系を採用しています。3段階料金とは、毎月の電気使用量に応じて1kWhあたりの料金単価が段階的に上がる制度のことです。第1・第2・第3段階と3つのステージがあり、ステージが上がるごとに料金単価が上がっていきます。このように料金単価が段階的に上がるプランの場合は、各段階の料金単価の違いを考慮に入れて計算します。
例えば、ある従量制料金プランが「電気使用量が最初の120kWhまでは1kWhあたり19円(第1段階)」「120kWh〜300kWhまでは26円(第2段階)」「300kWh以降は30円(第3段階)」だったとします。ご家庭の電気使用量が420kWhだった場合、以下のように計算します。
120kWh×19円(第1段階)+180kWh×26円(第2段階)+120kWh×30円(第3段階)=10,560円
こうして計算した従量制料金に「燃料費調整額」を加減した値がこの月の電力量料金になります。そしてこの電力量料金に基本料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えた合計の金額が、その月に請求される電気料金となります。
従量制料金プランを見直そう
毎月の電気代を安くするためには、契約している電気料金プランの従量制料金部分を見直していくことが大切です。再度、従量制料金の計算式に注目してみましょう。
従量制料金(円)=電気使用量(kWh)×1kWhあたりの料金単価(円)
電気使用量(kWh)を減らす
1ヵ月の電気使用量(kWh)を減らすことで、従量制部分の電力量料金を減らし、電気代を安くします。ここが一般的に節電と言われている部分で、使わない家電製品の電源をこまめに切ったり、エアコンの設定温度を見直すなど電気代を意識した生活を心掛けることがこれに当たります。とはいえ、オール電化住宅や家族の人数が多いご家庭では一言に節電と言ってもなかなか難しい場合もありますね。そこで以下の方法をご紹介します。
1kWhあたりの料金単価(円)を減らす
1kWhあたりの料金単価(円)を減らすことで、従量制部分の電力量料金を減らし、電気代を安くします。単純に1kWhあたりの料金単価が安い電力会社を選ぶというのも一つの方法ですし、また時間帯別の料金プランを利用するという方法もあります。
時間帯別の料金プランは、朝や夜など特定の時間帯の料金単価が安いプランです。ご家庭で電気をたくさん使う時間帯の料金単価が低いプランに変更することで、従量制部分の電力量料金を安くすることができます。まずはざっくりとで構いませんので、1日の時間帯による電気の使用量を把握してみましょう。
例えば「昼間は誰もいないけど夜にはたくさん電気を使う」というご家庭の場合、夜の料金単価が安くなるプランを選択することで、今より電気代を安くすることができるかもしれません。さらに電気代の安い夜間に家事をまとめて行うなど、時間帯別プランのメリットを十分に活用することで効果的な節約が可能になります。
まとめ
従量制料金を中心に電気料金の仕組みをしっかりと理解することが、ご家庭の電気使用量や電気料金プランを見直す上での強みとなります。ご自身のライフスタイルに合わせた料金プランを選択して賢い省エネ生活を送っていきましょう。