社会人になり給与を受け取ったとき、総支給額と手取り額の差に驚いた人もいるのではないでしょうか。また、自分の給与の受取平均額は把握していても、何がどのように控除されているか、きちんと説明できるとは限りません。この機会に初めての給与を受け取る人も、社会人経験がある人も、給与の控除内容と計算方法について知っておきましょう。
目次
手取りとは「総支給額」から「各種控除額」を引いたもの
総支給額とは何だろう
雇用契約を結ぶ際、雇用契約書に記載されている「基本給」はあらゆる給与計算の基準となる金額で、雇入れ開始までに確定します。これに所定の時間以上労働した際に発生する「残業費」や「扶養手当」「交通費」「資格手当」「出張手当」などの手当が上乗せされ、総支給額が決定します。なお、手当は会社によりその支給内容が変わりますので、就業規則を確認する必要があります。
「各種控除額」とは何だろう
所得税などの税金や厚生年金といった国・公的機関への支払金に加え、会社で互助会などの加入が義務付けられている場合は、この金額も控除の対象として給与から差し引かれます。そしてあらゆる金額を差し引かれた後の「実際に給与として振り込まれる金額」が「手取り額」という仕組みになっています。このため、扶養家族が多く保険料などが多く差し引かれる場合は同じ賃金でも各種控除額が高い→手取りは少なくなります。
具体的な控除対象にはどんなものがあるの?
具体的に会社は労働者に代わり、次のようなお金を納め、のちに給与から天引きします。
■税金:「所得税」「住民税」
■社会保険:「健康保険」「介護保険」「厚生年金」「雇用保険」
■その他の費用:組合費、共済金、積立貯金など
その性質により控除のタイミングなどが変わりますので、手取り額の算出には注意が必要です。
具体的な各種控除額について知ろう
新卒社員や転職時の控除のタイミング-日割計算
新卒採用や転職時など、内容により控除が開始するタイミングにはズレが発生することがあります。例えば、雇用保険は労働者として一定の条件で働くことが決まっている場合に、初日から保険料負担が始まります。そのため、月の途中で加入した場合は日割り計算にて、入社月から計算されることになります。所得税も、個人の所得に対して負担する税金ですので、給与支給があった場合、初日から計算対象になります。
入社の翌月から徴収が開始するもの
一方で入社の翌月以降から給与控除が始まるものもあります。一般的に、社会保険(厚生年金や健康保険料)などは、前月分を今月支払う、という形式をとっており、たとえば4月から健康保険・厚生年金の加入対象者であっても、社会保険の控除開始は5月からという形になります。また、転職者の場合は「入社後●カ月以降から社会保険加入可能」と条件を設けている会社もあり、「加入月の翌月から支払い」ということが原則です。
おおよその計算方法を知ろう
概算額を知りたいなら「給与の75〜80%」ぐらいが妥当
転職などを検討し、ひとまず概算を知りたいのであれば、基本給+諸手当の「給与額面」に対し7割〜8割を算出すると概算が出てきます。これは給与の額に応じ税金が決まる累進課税を取っていることから額面がわかれば概算額を算出できることの裏付けにもなります。ですので、扶養家族がいなく、給与も年齢平均より少ない場合は8割、給与が高く扶養家族もたくさんいる場合は7割で計算しておくのがおススメです。
概算額には残業費などの変動手当は含まれない
みなし残業が固定手当として支給されるケースと、残業費が随時時間数に応じて支給されるケースがあります。前者の時は概算額に組み込んで計算することが可能ですが、変動手当は含むことができません。ここで注目したいのが残業が多い人は2年目から税金の対象となる「前年度の収入実績」が上がり、1年目より税金が高くなることが想定されます。総勤務時間のベースは転職時には必ず確認しましょう。
各種控除額の算出方法を知ろう
具体的な計算方法を知りたい場合は健康保険料や厚生年金の額を詳細に計算し、実際の総支給額から差し引くと計算が可能です。健康保険料は協会けんぽや人材派遣健康保険組合など、自分が雇用されている会社が所属する組合でその負担額が決定します。厚生年金は前年の収入実績により決定しますが、前年は高収入だったものの、今年は手取りが下がった場合などは、年末調整で調整可能です。
まとめ
細かい金額の算出基準値はその人の収入や扶養家族の人数、年齢などにより大きく変動しますので、ここで明言は避けますが、総支給に対する支払年金額などは日本年金機構のHP、健康保険料は各組合のHPなどで確認が可能です。一度自分の手取り額が合っているか確認してみるのも今後のモチベーションアップにつながるかもしれませんよ。