「最近電気代が高くなったな」と感じたことはありませんか。電気代が高いと感じるのは、再生エネルギー発電促進賦課金が電気代に追加されたからかもしれません。現代社会に意味を成してくる再生エネルギー発電促進賦課金。なぜ電気代に加算されるようになったのか、どのようなしくみになっているのかご紹介します。
目次
再生エネルギー発電促進賦課金について知ろう
再生エネルギー発電促進賦課金はどういったもの?
再生エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの普及を目的に始まりました。未来の電気のために、という理由から、電気料金の一部として、国民や法人など電気利用者全てが負担するというしくみです。この再生エネルギー発電促進賦課金の単価は、毎年導入を予測したうえで経済産業大臣が取り決め、電気使用量に比例して加算されるようになっています。
対象となる再生可能エネルギーとは
それでは、再生エネルギー発電促進賦課金における対象となるエネルギーとは何なのか。それは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電のことです。うち、バイオマス発電は、植物などの生物を利用して発電を行うものになります。これらに共通するのは、自然にあるものを利用しているという点。何度も発電が可能で、将来も持続可能な電気の供給が期待できます。
再生エネルギー発電促進賦課金の負担金は
前述したとおり、再生エネルギー発電促進賦課金は、同年4月から翌3月の再生可能エネルギーの買い取り額を推定して単価が決められます。余剰分や足りなかった分については、翌年に加算または減算されるしくみです。毎年変動する可能性はありますが、目安として、2017年5月から翌2018年4月の電気代に加算される金額は2.25円/kWhとなっています。
いつから始まった制度なの?
実は、この再生エネルギー発電促進賦課金の制度は2012年に始まったものです。しかし当初は22銭/kWh、翌年の2013年も35銭/kWhと額が小さかったために、変化に気づきにくかったという点が挙げられます。ちなみに2016年5月からの単価は1.58円/kWhで、毎年着々と賦課金の単価は上がりつつあります。
そもそもなぜ再生エネルギー発電促進賦課金が必要なのか?
企業にはありがたい制度
国民目線で再生エネルギー発電促進賦課金についてご紹介しましたが、この再生エネルギー発電促進賦課金は、発電者側にとってはありがたい制度になります。理由は、国の要件を満たす場合、発電分全てが一定価格で電力会社に買い取ってもらえるからです。高いコストが懸念される再生可能エネルギーですが、制度の導入によって普及や拡大が進みました。それは、賦課金の増額によっても分かります。
日本の現状から見る必要性
現在日本の発電システムは、原子力発電が一部停止となって以降、多くを火力発電でまかなっているという状態になっています。その割合はと言うと、2015年においては石油・石炭・液化天然ガスを含め8割以上。しかし、この火力発電は温室効果ガスを排出する、多くを有限資源に頼っているという現状です。さらに、資源のもとになる石油などは輸入資源。日本は現在、電力源の多くを自給できていないということが分かります。
日本の将来のために
つまり、再生可能エネルギーが普及するということは、日本国内における電力自給率を高めるという意味があり、将来の電力供給を考えると大切なことです。電気はすでに私たちにとっては必要不可欠な存在。未来への投資だと思えば、再生可能エネルギーにおける賦課金もいささか納得がいくのではないでしょうか。
関連性の高い固定価格買取制度について
固定価格買取制度で電力会社が新電力を買う
再生エネルギー発電促進賦課金の制度は企業にとってありがたい制度だと解説しました。これは、固定価格買取制度がもとになっているからです。固定価格買取制度とは、前述したとおり電力会社が固定額で新電力を買い取るというものです。この買取と単価については、全て国の義務づけたものとなります。ただ、電力会社が買い取ると買い取った分損をしてしまいます。そこで生まれたのが再生エネルギー発電促進賦課金です。
使用する国民が新電力分を負担する
固定買取制度だけでは、電力会社が損をしてしまいます。そこで、電力は私たちの生活に還元している訳ですから、利用している人たちで新しいエネルギーを支えようと再生エネルギー発電促進賦課金を導入しました。現状では、賦課金は増加傾向にありますが、ある程度一定数に落ち着いたら賦課金の額が下がる、もしくは賦課金自体がなくなるという可能性もあります。
まとめ
再生エネルギー発電促進賦課金は電気代の増額という面で見れば、年々増加傾向にあり、少々負担が重いと感じることもあるかもしれません。しかし、賦課金設定の裏には日本の電力事情も大きく絡んでいるということを知っておく必要があります。再生可能エネルギーがこれからどれだけ日本の社会に根付いていくのか、今後新エネルギーとなりえるのかがカギです。