マイナンバーカードの導入にあたっては、さまざまなメリットが考えられている一方で、デメリットも示唆されています。日本はマイナンバーの後進国と言われていますが、すでにマイナンバーを取り入れている国においてさまざまな問題が具現化しているからです。デメリットについて、海外の事情も取り入れながらご紹介します。
目次
すでにマイナンバーに似た制度を導入している国々の現状
アメリカにおけるマイナンバー
アメリカでは社会保障番号制度が、日本のマイナンバーとしての機能を持っています。この制度はもともと、1936年に年金などの業務の効率化を図るために導入されたもの。現在は、口座の開設から税金の支払い、不動産の契約などさまざまな場面で使われています。ただ問題なのは、利便性の向上と引き換えに、なりすまし被害が多発しているということ。歴史が古いだけに政府の対応も後手後手になっているというのが現状です。
イギリスにおけるマイナンバー
イギリスでは2006年に国民ID制度というマイナンバーのような制度が始まりました。しかしこの国民ID制度はわずか5年で廃止となっています。廃止の理由は、国民の間で人権侵害に値するという認識があったため。これら国民の不安を取り除けなかった政府は、5年で政権交代という悲劇に終わりました。
韓国におけるマイナンバー
韓国においても、マイナンバーと類似した住民登録番号という制度が1968年より取り入れられています。この住民登録番号の特徴は、さまざまな場面で使えるという点。税金や年金だけでなく、医療、通信、選挙、兵役、教育などさまざまなジャンルと連携しています。ただ、韓国社会では、クレジット会社やオークションサイトなどより個人情報が相次いで流出するという問題も多発しました。
マイナンバーのセキュリティ関する問題点
セキュリティは万全なのか
各国におけるマイナンバーの現状についてご紹介しましたが、やはり引っかかるのがセキュリティ面ではないでしょうか。日本ではアメリカよりも多い12桁の番号、利用範囲は韓国よりも狭い社会保障に加え、税と災害に規定しています。また民間の利用においても、限定的になる予定です。これまでの各国の失敗によるセキュリティ面の強化は図られていますが、機能するかどうかはまた別問題です。
マイナンバー流出の可能性
マイナンバーの扱いについては、今後一元化せずに、それぞれの機関で分散して管理されます。簡単に言うとマイナンバーだけに管理を頼らないということです。これにより流出の可能性は低くなりますが、全く情報流出が起こらないというわけではありません。会社や個人から流出する可能性はあります。個人や企業におけるセキュリティ意識が今後さらに大切になってきます。
なりすまし被害の可能性
情報が流出してしまったら、次にどうなるか。なりすましによる被害を受ける可能性が考えられます。なりすましとは、盗用したマイナンバーを使って、個人になりすまし、不正に利用することです。日本ではなりすまし被害に遭わないよう本人認証などに規定を設けていますが、マイナンバーの重要性の理解が全国に広まっているかというと微妙なところです。個人間のやり取りで被害に遭う可能性もあります。
その他考えられるデメリットとは
預貯金が知られる可能性がある
マイナンバーと銀行間のやり取りについては、まだまだ現段階では確定していないこともありますが、今後マイナンバーを利用してネットバンキングを利用できるようにするといった構想も練られています。そうするとどうなるか。個人の預貯金が分かってしまうということに繋がる可能性もあるのです。場合によっては税金が絡むなどの可能性もあり、日本経済を後退させる恐れもあります。
医療界にも進出する可能性
現在限定的な利用が考えられているマイナンバーですが、今後医療において使用されるという可能性もあります。実際に、予防接種の履歴などを自分で閲覧できるようにするという取り組みも考えられています。そうなると、もし情報が流出した場合、仕事や生活において、影響が及ぶ可能性も否めません。
まとめ
マイナンバー制度ではメリットはもちろんですが、それ以上に特にセキュリティの面で懸念が広まっています。日本はさまざまな対策が講じられていますが、これが、公共機関で、個人間でうまく働くかというと微妙なところです。個人がどれだけマイナンバーについて正しい認識を持てるか、企業や公共の場で正しく扱えるかがカギを握るでしょう。