マンションに住む人の中には、自分には電力の自由化は関係ないと考えている人もいるようです。しかし、戸別に電気会社を契約している一般的なケースでは、新電力への切り替えが可能です。マンションでの新電力への切り替えができる場合とできない場合をチェックしてみましょう。
戸別契約なら新電力への切り替えは可能
賃貸マンションやアパートに住んでいる場合でも、高圧一括受電となっている場合などを除いては新電力への切り替えが可能です。もちろん、戸建て住宅と同様に電力会社や料金プランを選ぶことができます。賃貸マンションに住んでいても、個々にインターネットのプロバイダーを選んで契約することができることと同じイメージで捉えるとよいでしょう。
ただし、新電力への切り替えの際には、マンションの契約者と電力会社の契約者が同一であることが条件です。つまり、建物のオーナーが一括して建物の電気代や水道代などの公共料金を支払っている場合は、その建物の1部屋のみを新電力に変更することはできません。
ただし、オール電化マンションの場合には、地域電力会社のオール電化専用料金プランの方が安いことが多いです。一度解約すると、再びオール電化専用の料金プランでの契約ができないケースもありますので、新電力への切り替えはシミュレーターなどを利用して、慎重に判断しましょう。
また、新電力への切り替えでは、スマートメーターの設置が行われますが、電力メーターが変更されることを懸念する人もいるでしょう。しかし、電力メーターはオーナーのものではなく、電力会社の所有物ですので、賃貸マンションであっても電力メーターの変更も問題はありません。スマートメーターへの交換費用は新電力側が負担してくれます。
新電力に変えられない!?高圧一括受電とは
それでは、新電力に切り替えられない高圧一括受電とは何でしょうか。
家庭向けの電力自由化が解禁となる前の2005年から、「高圧」という区分にあたる50kW以上の契約の電力の小売が認められました。一般的には、戸建て住宅と同様にマンションでも「低圧」といわれる家庭用の区分で戸別に契約しています。しかし、一部の大型マンションでは、共用部の管理費用軽減のために高圧一括受電を導入しているケースがあります。
高圧一括受電を導入している賃貸マンションは、マンション全体で電気を「まとめ買い」していることになります。これは、マンション1戸で高圧のまま電気をまとめて購入する方が、各住居で低圧の電気を買うよりも安くなるためです。また、高圧の電力は変電設備で変圧した後にマンションの共用部と各戸に供給されるため、各部屋に行き渡る電力は通常と同じです。
つまり、高圧一括受電を導入すれば供給される電気代自体は安くなり、共用部分の電気代も大幅なコストダウンが可能となるわけです。
この高圧一括受電の契約は10年〜15年の長期契約とされていることが一般的で、契約期間中は戸別契約に切り替えて新電力に変えるといったことはできません。
高圧一括受電契約か戸別契約どうかは電気代の請求書の名称でわかりますが、見分けられない場合には管理会社に問い合わせてみましょう。
高圧一括受電と新電力の料金プランはどっちが得?
高圧一括受電契約のマンションに住む人の中には、家庭用の電力の自由化によって、「ライフスタイルに合った新電力の料金プランを選ぶ方がお得なのでは?」と感じている人もいるかもしれません。
実際、高圧一括受電と戸別にライフスタイルに合わせて新電力を選ぶのとでは、どちらが安くなるかはケースバイケースです。
高圧一括受電の場合の電気代は、導入した物件によって違いがあります。大まかにいうと、「共用部分の電気代の大幅なコストダウンによって管理費用を下げられる」という高圧一括受電契約のメリットは、マンションの規模に比例して大きくなります。
しかし、戸別部分で見てみると、個々の電気の使用量や使用時間帯、地域による新電力の提供する料金プランの違い、さらに、マンションの規模や受電事業者による手数料の違いも影響してくるため、一概に「高圧一括受電契約のマンションだから必ず電気代がお得になる」とは言えないでしょう。
新たに高圧一括受電契約の賃貸マンションに新たに住む場合には、設定された料金プランがライフスタイルに合っているかを踏まえて、物件選択の際に考慮するのがおすすめです。
高圧一括受電契約の分譲マンションのケース
分譲マンションの場合、高圧一括受電の導入には住民の同意が必要です。つまり、家庭向けの電力の自由化が解禁された昨今、個々の住人の電気代が違う中で高圧一括受電の導入を進めていくことは難しいと想定されます。高圧一括受電導入の議論のさなかにも、新電力への切り替えを進める居住者も増えてくるかもしれません。
特に、関東や関西など、新電力の参入が多く、競争が激化しているエリアでは、高圧一括受電の導入のメリットが薄れてきています。
既に高圧一括受電の導入を行ったマンションでは、今後契約期間の終了が相次ぎますので、高圧一括受電契約を継続するか、解約するかといった問題が出てきます。
まとめ
賃貸マンションでも高圧一括受電契約を結んでいる場合を除いては、新電力へ切り替えることで電気代が削減できる可能性があります。戸別契約となっているかチェックし、新電力の料金プランをチェックしてみましょう。